がんと貧血の関係とは?抗がん剤の副作用によるだるさの原因と対策、食事の工夫を解説

がんと貧血の関係とは?抗がん剤の副作用によるだるさの原因と対策、食事の工夫を解説

がんの治療中に、「体が鉛のように重い」「少し動くだけで息が切れる」といった、強いだるさ(倦怠感)に悩まされていませんか?

そのつらい症状、もしかするとがんや抗がん剤治療に伴う「貧血」が原因かもしれません。がん治療中の貧血は、一般的な鉄分不足の貧血とはメカニズムが異なり、自己判断での対処には注意が必要です。

この記事では、がん治療中に貧血が起こる原因、病院に相談すべき目安、医療機関での治療法から、日常生活や食事での工夫までを分かりやすく解説します。

1. なぜ「がん」や「がん治療」で貧血が起きるのか?主な3つの原因

がんに関連して起こる貧血(がん性貧血)は、主に以下の3つの原因が複雑に絡み合って発生します。

① 抗がん剤(化学療法)や放射線治療による「骨髄抑制」
最も頻度が高い原因が、治療の副作用による骨髄抑制(こつついよくせい)です。
骨の中にある「骨髄」という組織では、赤血球や白血球、血小板などの血液細胞が作られています。しかし、抗がん剤や放射線治療は、がん細胞だけでなく活発に増殖する骨髄の細胞にもダメージを与えてしまいます。その結果、赤血球を作る能力が一時的に低下し、貧血が引き起こされます。
② がんそのものが原因で起こる「慢性疾患に伴う貧血」
がんが体内にあること自体が貧血を引き起こすこともあります。
がん細胞によって体内で持続的な炎症が起きると、鉄を貯蔵庫から血液中へうまく移動できなくなったり、赤血球を増やすホルモン(エリスロポエチン)の働きが鈍くなったりします。「体内に鉄分はあるのに、炎症のせいで使えない」という状態です。
③ 消化管からの出血や栄養不足
胃がんや大腸がんなどの場合、がんの表面から少しずつ出血が続くことで血液(赤血球)が失われ、貧血になります。また、がんや治療の影響で食欲が落ち、赤血球の材料となる栄養が不足することも原因の一つです。

2. 市販の鉄剤はNG?「がんによる貧血」と「普通の貧血」の違い

「貧血なら、市販の鉄分サプリや鉄剤を飲めば治るのでは?」と考えがちですが、がん治療中の場合は自己判断での服用は禁忌です。

一般的な貧血(鉄欠乏性貧血): 体内の鉄分が不足しているため、鉄を補給すれば改善します。
がんによる貧血: 原因は「鉄不足」ではなく、主に「骨髄のダメージ」や「炎症による鉄利用の障害」です。

体内に鉄が十分にある状態(あるいは利用できない状態)でさらに鉄分を過剰摂取すると、肝臓などの臓器に鉄が沈着し、かえって体に害を及ぼすリスク(鉄過剰症)があります。サプリメントや市販薬を使用したい場合は、必ず事前に主治医に相談しましょう。

3. 抗がん剤治療による貧血は「いつまで」続く?時期の目安

抗がん剤による骨髄抑制(貧血)は、治療のスケジュールと密接に関係しています。

血液細胞の種類 減少が始まる時期 最も減少する時期(ピーク) 回復の目安
白血球・血小板 投与後 数日〜1週間 投与後 7〜14日頃 投与後 3〜4週間で回復
赤血球(貧血) 投与後 2〜3週間後〜 治療のクールを重ねるごと 治療終了後、数ヶ月かけて徐々に

白血球などに比べ、赤血球は寿命が約120日と長いため、抗がん剤投与直後ではなく、2〜3クール目以降など治療が長引くにつれて徐々に進行し、だるさが慢性化しやすいという特徴があります。基本的には、治療の全行程が終了すれば、骨髄の機能は数ヶ月かけて元の状態へと回復していきます。

4. 見逃さないで!がん性貧血の主な症状と「病院へ連絡する目安」

赤血球は、全身の細胞に酸素を運ぶ重要な役割を持っています。これが減少すると全身が酸素不足になり、以下のような症状が現れます。

【がん性貧血の主な症状チェック】

  • 体がだるい、疲れやすい(倦怠感)
  • 少し動いただけで、動悸(心臓がドキドキする)や息切れがする
  • 立ち上がったときに、めまいや立ちくらみがする
  • 頭痛、頭が重い
  • 顔色や爪、下まぶたの裏が白っぽい

⚠️ すぐに医療機関へ連絡すべき目安