がん治療中・治療後の手足のむくみ(浮腫)対策|原因・初期サイン・病院へ行くべき目安
がん治療中や治療後に、手足がパンパンに張ったり、重だるさを感じたりすることはありませんか?
「服や靴がきつくなって辛い」「もしかして、がんが悪化しているサインでは……」と、一人で不安を抱え込んでしまう方も少なくありません。
この記事では、がん治療に伴うむくみの原因から、自宅での正しい過ごし方、今すぐ病院へ行くべき「危険なサイン」までを分かりやすく解説します。あなたの不安を少しでも軽くし、次のステップへ進むための参考にしてください。
1. がん患者さんに「むくみ(浮腫)」が起こる主な3つの原因
医療の世界では、むくみのことを「浮腫(ふしゅ)」と呼びます。がん患者さんの体にむくみが起こる背景には、主に以下の3つの原因が考えられます。
1-1. 手術によるリンパの流れの滞り(リンパ浮腫)
乳がんや子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの手術では、がんの転移を防ぐために、転移しやすい周囲の「リンパ節」を一緒に切除する(リンパ節郭清:かくせい)ことがあります。
リンパ節を取り除いたり、周囲のリンパ管が傷ついたりすると、本来そこを流れるはずだったリンパ液の流れが滞り、手や足の皮膚の下に水分が溜まってしまいます。これが「リンパ浮腫」と呼ばれるものです。
1-2. 抗がん剤(化学療法)や放射線治療の副作用
特定の抗がん剤(一部のドセタキセルなど)を使用すると、副作用によって体内に水分が溜まりやすくなり、全身や手足がむくむことがあります。また、ホルモン療法薬の副作用でむくみが出ることもあります。
さらに、がんがあった場所に放射線治療を行った場合、その影響でリンパ管が狭くなり、リンパ液の流れが悪くなってむくみを引き起こすケースもあります。
1-3. 体内の栄養状態の低下(低アルブミン血症)やがん自体の影響
がんの治療中は、食欲が落ちたり体力を低下したりして、十分な栄養がとれなくなることがあります。
血液中のタンパク質(主にアルブミン)が不足すると、血管の中に水分を留めておく力が弱まり、水分が血管の外(組織)へ染み出してむくみにつながります。これを「低アルブミン血症による浮腫」と呼びます。
そのほか、大きくなったがん(腫瘍)が血管やリンパ管を直接圧迫することで、その先の部分がむくむこともあります。
2. そのむくみ、もしかして「リンパ浮腫」?気づきやすい初期症状
がんのむくみの中でも、特に多くの方が不安になるのが「リンパ浮腫」です。リンパ浮腫は、放っておくと慢性化しやすいため、「いつもと違うな」という初期のサインに早く気づくことが大切です。
2-1. リンパ浮腫が起こりやすい部位と時期
リンパ浮腫は、手術をした側の手足に起こるのが特徴です。
発生する時期は人それぞれで、手術後すぐに出ることもあれば、数ヶ月〜数年、ときには10年以上経ってからじわじわと現れることもあります。
2-2. 見逃さないで!自分で気づく「初期サイン」
以下のような症状がある場合、リンパ浮腫の初期段階かもしれません。
「これくらいで相談していいのかな」とためらわず、このような変化に気づいたらすぐに主治医や看護師に伝えてください。
3. 自分で勝手に揉むのはNG?むくみへの「正しい対処法」と注意点
「むくんでいるから、マッサージをして流そう」と、良かれと思って自己流で揉んでしまう方が多くいます。しかし、ここには大きな落とし穴があります。
3-1. 【重要】自己流の強いマッサージが「逆効果」になる理由
3-2. 自宅でできる安心・安全なセルフケア
自宅でむくみのケアを行う際は、以下の「安全な方法」を心がけましょう。
4. 迷わず病院へ!相談すべきタイミングと受診先
むくみの中には、「次の診察日まで待たずに、今すぐ病院へ連絡すべき状態」があります。
4-1. 今すぐ主治医に連絡すべき「危険なサイン」
もし、むくんでいる場所に以下のような症状が現れた場合は、細菌感染(蜂窩織炎)や血管の詰まり(血栓症)の可能性があります。夜間や休日であっても、速やかに主治医や通院中の病院の緊急窓口へ連絡してください。
4-2. どこに相談すればいい?(何科を受診する?)
上記のような緊急のサインがない場合でも、むくみが気になったらまずは「がんの主治医」や「担当の看護師」に相談するのが基本です。
病院によっては、がん患者さんの生活の困りごとをサポートする「がん看護外来」や、むくみの専門ケアを行う「リンパ浮腫外来」が設置されていることもあります。まずは一番話しやすい医療スタッフに「手足のむくみが気になっている」と打ち明けてみてください。
5. まとめ:一人で抱え込まずに医療スタッフを頼ってください
この記事のまとめ
がん治療中・治療後のむくみは、体への負担だけでなく、「この先どうなるのだろう」という精神的な不安も大きくさせてしまうものです。
しかし、むくみは決して「我慢しなければいけないもの」ではありません。原因を特定し、適切なスキンケアや圧迫療法、医療用マッサージ(医療リンパドレナージ)などを行うことで、症状をコントロールし、日常生活をぐっと楽にすることができます。
自己流で何とかしようとせず、今のあなたの状態や不安な気持ちを、そのまま医療スタッフに伝えてください。病院の医療チームは、がんの治療だけでなく、あなたのQOL(生活の質)を守るための心強い味方です。